VACサイゴン税理士法人

お問い合わせ

ベトナム税務・会計レポート

ベトナム税務・会計レポート

ベトナム付加価値税

事業者が事業において作り出す付加価値に対して課される税金で、日本の消費税とよく似ています。物品やサービスの売上に際し付加価値税を受け取り(売上VAT)、物品やサービスの購入に際し付加価値税を支払います。(仕入VAT)

ベトナムでは1999年1月より、取引税に代わり欧州型の付加価値税が導入されました。ベトナム国内で製造・販売・消費される物品・サービス(海外からの輸入を含む)が対象となります。

標準税率は10%ですが、必需品・サービス(水、農業、医療、食料など)は5%、輸出品は0%が適用されます。

税率

0% 輸出 輸出品、輸出サービス、国際輸送
5% 必需品 農産物、衣料品、食料品など
10% 標準税率

非課税 未加工または半加工の農林水産物、塩、医療サービス、ソフトウェアなど

VAT0%の取引は、仕入VAT控除やVAT還付が認められますが、非課税取引は、付加価値税申告納税義務がなく、仕入VAT控除や還付が認められません。

輸出取引VAT0%の要件

*契約書
*銀行送金証明書もしくは法律で定められた書類
*物品の輸出の場合は、通関書類

仕入VAT控除の要件

*適切な公式インボイス(赤領収書)または外国契約者に代わって外国契約者税を納付した場合の納税証明書
*2千万ドン以上の取引の場合、銀行送金証明書など非現金決済を証明する書類
*輸出取引の場合、契約書、通関申告書

申告納付方式

1)控除方式 (インボイス方式)
ほとんどの納税者がこの方法を適用します。
納付税額 = 売上VAT – 仕入VAT (控除可能なもの)

物品やサービスの売上に際し受け取った付加価値税(売上VAT)から、物品やサービスの購入に際し支払った付加価値税(仕入VAT)を引いた金額が納税額となります。

2)帳簿方式(直接法、簡便法)
個人事業主や金・銀・宝石の売買を行う事業者など一部の納税者のみ適用となります。
販売した物品やサービスの付加価値に税率を掛け、付加価値額を算出します。

申告納税

1)設立後12ヵ月未満の企業
四半期申告となります。四半期末の翌月30日が申告納税の期限です。

2)設立後12ヵ月以上の企業
前年の売り上げが500億ドンを超えた場合は月次申告、500億ドン以下の場合は、四半期申告となります。ここで決まった申告方法は、3年間適用されます。
月次申告は、翌月20日、四半期申告は、四半期末の翌月30日が申告納税の期限です。

還付

ベトナムの付加価値税は確定申告を行いません。仕入VATが売上VATを超過している場合は、原則、超過額を翌期に繰り越します。VAT還付申請の条件は年々厳しくなっていますが、一定の要件を満たすと、払い過ぎの仕入VATの還付申請が可能です。

1)生産開始前の新規設立企業のVAT還付要件
*資本金全額が払い込み済み
*設立後1年以上
*3億ドン以上の仕入VATの残高が生じていること

2)輸出売上から生じた仕入VATの還付要件
 *仕入VAT残高が3億ドン以上
 *仕入VAT残高が輸出売上高の10%以下であること

初回のVAT還付申請は、必ず税務調査が行われます。税務調査で証憑書類を入念にチェックされた後、還付金額が確定し、文書が発行された後、還付金が送金されます。2回目以降は、VAT還付申請通りにVAT還付金が会社口座に送金され、しばらくしてから税務調査が行われるのが一般的です。
税務担当官の主観で判断されることも多く、還付申請した金額が全額還付されることは稀です。
また、還付金額が確定し文書が発行されても、国庫に資金がないなどとの理由で還付金の送金が遅れることもあります。

公式インボイス(赤領収書・レッドインボイス)

ベトナム政府が承認する公式領収書で、ベトナムの会計税務上、最も重要な証憑の一つです。もともと用紙が赤い色だったため、赤領収書(レッドインボイス)と呼ばれています。
事業者は、原則、物の販売、サービスの提供時に赤領収書を発行しなければいけません。
赤領収書を使い始める前に、税務局への届け出を行う必要があります。発行についても厳しく管理されており、四半期ごとに発行、破棄、書き間違いなど赤領収書の使用状況の税務局への報告が義務付けられています。
赤領収書の記入はベトナム語で行います。
例外はありますが、基本的に仕入VAT控除や法人税の損金算入には赤領収書が必要です。ただし、赤領収書があっても、記入した情報に間違いなどあった場合や、事業活動に直接関連のない費用の場合は、仕入VAT控除や損金算入が認められません。赤領収書を受け取ったら、まず内容の確認が必要です。
2018年11月から電子インボイスの使用が強制となりました。2020年10月末までは、猶予期間として紙の赤領収書使用が認められていますが、2020年11月からは紙ベースの赤領収書は認められなくなります。