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ベトナム税務・会計レポート

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ベトナム法人所得税

ベトナム法人所得税

課税年度

原則は1~12月の暦年ですが、財務省に事前に登録を行えば、決算月を、3月末、6月末、9月末のいずれかにすることも可能です。
途中で、決算月の変更も認められますが、決算月変更時の課税年度は、12か月を超えることはできません。
例えば、3月決算だった企業が決算月を9月に変更する場合、3月末で決算を行った後、4~9月で決算を行います。
ただし、新設企業、清算企業に限り、最大15か月を課税年度とすることができます。

課税所得の計算

総所得 = (収入 - 損金算入可能な費用) + その他の所得
課税所得 = 総所得 - (非課税所得 + 繰越欠損金)

損金算入可能な費用について

下記要件をすべて満たす場合、損金算入が認められます。
 
*生産事業活動に関連し、実際に発生した費用
*公式インボイス(赤領収書・レッドインボイス)や契約書など必要な証憑書類がある
*2千万ドン以上の取引は非現金決済である

損金算入は、税務調査で非常に厳しくチェックされるため、注意が必要です。

<損金不算入費用の例>
*現行の法令上認められない、規定を超えている、事業に関連がない、償却済みなどの固定資産の減価償却費
*公式インボイス等証憑書類のない商品、サービスの購入費
*実際の支払いがされていない、もしくは労働契約書や就業規則に記載のない労働者の給与及び賃金、賞与、手当
*出張旅費規程や出張命令書がない出張費用
*公式インボイスに記載の間違いがある費用
*ゴルフ会員権、ゴルフプレー費用
*行政規則違反、税務関連規則違反、その他行政違反による罰金

繰越欠損金

欠損金の繰越は発生した翌年から連続5年間認められますが、最長5年間で相殺しきれなかった損失をその翌年に繰り越すことはできません。
優遇税制適用企業は、優遇税制の免税・半減期間も欠損金の繰越期間に含まれるため、注意が必要です。

申告・納税

法人所得税は、四半期ごとの予定納税を四半期末の翌月30日以内に、また会計年度終了後90日以内に、確定申告を行います。
期中の税務申告はありませんが、第4四半期納税期限までにその年の確定申告額の80%以上を納付しないと、延滞税が発生します。

標準税率

法人税の標準税率は20%です。
石油、ガス事業は、プロジェクトごとに32~50%の範囲となります。

優遇税制

ベトナムの優遇税制には、優遇税率と減免税があります。

1)優遇税率

事業内容や投資地域など、条件に従い10%、15%、17%の優遇税率が、10年、15年もしくはその事業活動の全期間に適用されます。

2)減免税

事業内容や投資地域により期間が変わります。
*免税2年の後、50%減税4年
例)ホーチミン、ハノイ近郊の工業団地に入居する多くの製造業
*免税4年の後、50%減税5年
*免税4年の後、50%減税9年
例)ソフトウェア開発を行うIT企業

3)優遇税制対象外の業務

対象となる業務の所得と対象にならない業務の所得は、分けて法人税を算出する必要があります。優遇適用業務に直接関連しない所得(その他収益)には、優遇税制が適用されません。
また、製造業の企業が、商品を仕入れてそのまま販売するいわゆる商社業務を行う場合、商社業務は優遇税制が適用されない可能性が高いです。

4)IT企業の優遇税制

ベトナムはIT立国を目指しており、IT企業に対する法人税優遇制度はよく知られています。
優遇税率10%が15年適用され、そのうち免税は4年、50%減税は9年です。
(法人税免税4年、5%が9年、10%が2年)

ただ、すべてのIT企業に対し税制優遇制度が適用されるわけではありません。優遇税制の対象になるのはソフトウェア開発業務のみで、該当するソフトウェアの種類も定められています。それ以外の業務は、標準税率が適用されます。

また、ソフトウェア業務の中でも、法人税優遇制度が適用されるために、どの工程の業務を行う必要があるのか細かく規定されており注意が必要です。

5)優遇税制適用時期

課税所得が発生した年度から、免税・減税期間が開始となります。ただし、売上発生後3年間課税所得がない場合は、4年目から自動的に、免税・減税期間が開始されます。

配当金海外送金

下記の条件を満たせば、ベトナム現地法人から親会社に年に1回配当を出すことが可能です。出資者が法人の場合は、配当に対し課税されません。個人出資の場合は、配当に対し5%の個人所得税が課税されます。

 *納税義務をすべて果たしていること
 *監査済み財務諸表および法人税確定申告書を税務局へ提出済み
 *累積損失がないこと
 
配当金支払日の7営業日前までに、税務局に所定の書類で通知を行います。(税務局からの承認
は必要ありませんが、書類に何か問題があれば税務局から連絡が入ります。)
取扱銀行にも事前に書類を提出します。

配当可能金額は、監査済み財務諸表、法人税確定申告書に記載された税引後利益+過年度利益(利益剰余金)-再投資額です。