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VACサイゴンスタッフコラム

2021/04/16 VACサイゴンスタッフコラム

フン王の命日(旧暦3月10日)

筆者:Nhieu Quynh Kim Hao


“Dù ai đi ngược về xuôi
Nhớ ngày Giỗ Tổ mồng mười tháng ba
Khắp miền truyền mãi câu ca
Nước non vẫn nước non nhà ngàn năm”.”

上記の昔から伝わる民謡はベトナム人なら誰でも覚えています。
‘’どこに行っても、旧暦3月10日の命日を覚えておく
千年たってもベトナムがベトナム人のだとの詩は全国各地に伝わる’’という意味です。

フン王はベトナムの伝説の王であるラック・ロン・クアン(貉龍君=Lac Long Quan)とアウ・コー(嫗姫=Au Co)の子息です。涇陽王と神龍女との間に生まれたラック・ロン・クアンは帝来の娘のアウ・コーを娶りました。2人の間には100個の卵が生まれ、100個の卵から百人の男の子になりました。この男の子たちが百越の祖先となったとされます。ある日、ラック・ロン・クアンはアウ・コーに「私は龍の子で、君は仙人の子だ。我々は水火のように相容れない。同居を続けるのは難しいだろう」と言いました。そこで50人の男の子が母に付いて山中の峰州に入り、残りの50人の男の子はラック・ロン・クアンと共に南海に残りました。長男が王位を嗣いでフン王(雄王)と号し、ベトナム史上最初の王朝とされるバンラン国(文郎国)を建国しました。このバンラン国こそがベトナム国家の始まりで、フン王がベトナム最初の王とされているゆえんです。子孫も代々フン王と称し、紀元前258年にアン・ズオン・ヴオン(An Dương Vương=安陽王)のオウラック(Âu Lạc=甌駱、紀元前258~紀元前179年)国に滅ぼされるまでの2622年間、18代にわたってフン王は存続したとされています。

命日は、最初の王朝を築いた日・国家の歴史が始まった日・ベトナムの支配者を祀っている日です。フン王に関する神社が1417ヶ所あります。その中で、東北部のフート省にある神社が一番有名です。フート省はフン王が建国したバンランの中心地ですので、フート省にあるフン王を祀る神社はベトナム民族の発祥の地と見なされています。ベトナムでは、お正月も重要な行事もほとんど旧暦で行われます。旧暦3月10日が近づいていると、数百万人の大群衆が祭りの期間中にでの神殿への巡礼を行い、祖先への祈りと香を捧げます。豪華なごちそう、行列、象の行進、ベトナムの音楽と歌の演奏などが祭り中に行われます。毎年の、フン王の命日は、ベトナム文化と国民の誇りを表しています。

2001年1月6日に、政府が発行した議定82/2001/NĐ-CPに基づき、旧暦3月10日はベトナム民族の命日になりました。フン王の命日行事とフン王の祭りを通じて、国民の希望に添うように人々に独立自主の価値観を認識させるとともに、人々の団結精神と愛国心を呼びかけようとする大切な行事であります。次の世代若者は国の建設や発展や国を守る事業に功績を挙げた先人の恩に対して感謝する気持ちを身に付ける必要でしょう。これもベトナム人の美徳の一つです。2012年12月に、国連教育科学文化機関(UNESCO)はこの信仰を世界無形文化遺産として認定しました。ベトナムの代表的な無形文化遺産とされるこの信仰は、ベトナム人の精神生活において特別な位置を占めています。