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ベトナム税務・会計レポート

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ベトナム労働法の改正 02

労働法の改正
2019年11月20日付で、ベトナムの国会は改正労働法45/2019/QH14を可決し、2021年1月1日から施行されています。旧法である10/2012/QH13との違いを中心に、この改正労働法について何回かに分けて説明します。

賃金
1)賃金テーブル
旧法(10/2012/QH13)、現行法(45/2019/QH14)とも賃金テーブル、賃金表、労働基準を作成しなければいけないと定められておりますが、旧法では、「作成した賃金テーブルおよび賃金表を雇用者の所在地の労働に関する県レベルの国家管理機関へ送付し、実施前に事業所で公表・公開しなければならない」(2012年法93条)とされていました。
なお、政令121/2018/ND-CP(2018年11月1日施行)により、労働者が10名以下の場合は、提出は免除となりました。
現行法では、「賃金テーブル、賃金表の作成および労働基準の設定は、実施する前に職場で公表、公開しなければならない」(改正法93条)となり、国家管理機関への送付の部分が削除されました。
2)賃金支払い
旧法では「銀行口座を通じて支払う場合、雇用者は口座の開設と維持に関連する各種手数料について、被雇用者と合意しなければいけない」(2012年法94条)と定められています。
現行法では、「銀行に開設した労働者個人の口座振り込みで賃金が支払われる場合、使用者は口座開設および賃金送金に関連する各種費用を支払わなければならない」(現行法96条)となりました。

勤務時間
1)時間外労働の上限
労働法では、時間外労働の上限について定められていますが、その中で1か月あたりの時間外労働について変更されています。
旧法では1か月あたり30時間(2012年法106条)ですが、現行法では1か月あたり40時間(改正法107条)となりました。
また、年間では通常200時間までのところ、特別な場合のみ年間300時間まで認められておりますが、改正法では、条件についてこのように規定されています。
以下の産業分野、業種、業務または場合の1つにあたる場合、使用者は1年間に300時間を超えない時間外労働を労働者にさせることができる。
a)繊維、縫製、皮革、靴、電気、電子、農産物加工、林業、塩業、水産の製品の生産、輸出加工
b)電気の発電、供給、電気通信、石油精製、給排水
c)高度の専門、技術水準がもとめられる業務で、労働市場が適時に十分な労働者を提供できないものを解決する場合
d)原料、製品の適切な時期により、または事前に予想できない客観的要素により緊急で、遅延させることができない業務を解決する場合、または天候不順、自然災害、火災、妨害、電力不足、原料不足、生産チェーンの技術により発生する業務を解決する場合
e)政府が規定するその他の場合

2)勤務中の休憩
旧法では「8時間または6時間連続で勤務する被雇用者は、勤務時間として計算される、少なくとも30分の休憩を取ることができる。深夜労働の場合、非雇用者は勤務時間として計算される、少なくとも45分の休憩を取ることができる」(2012年法108条)と規定されていました。
現行法では「1日あたり6時間以上勤務する労働者は、深夜勤務でない場合は少なくとも30分連続で、深夜勤務の場合は、少なくとも45分連続で休むことができる。労働者が6時間以上連続の交代制で勤務する場合、勤務中の休憩時間は、勤務時間として計算される」(現行法109条)としています。
旧法では、8時間または6時間連続で勤務した場合の休憩時間は勤務時間として計算されましたが、現行法で、6時間以上連続の交代制で勤務する場合のみ、休憩時間を勤務時間とすると変更されています。
3)祝日
旧法では、陽暦の正月(1月1日)1日、旧正月テト(陰暦の12月28日もしく29日から1月3日)5日、フン王弔日(陰暦3月30日)1日、戦勝記念日(4月30日)1日、メーデー(5月1日)1日、建国記念日(9月2日)1日の合計10日が祝日とされていました。(2012年法115条)
現行法では、陽暦の正月(1月1日)1日、旧正月テト(陰暦の12月28日もしくは29日から1月3日)5日、フン王弔日(陰暦3月30日)1日、戦勝記念日(4月30日)1日、メーデー(5月1日)1日、建国記念日(9月2日とその前または後ろの1日)2日の合計11日が祝日となります。
建国記念日である9月2日の前もしくは後ろの1日が新たに祝日として加えられました。これは、政府が年ごとに前の日とするか後ろの日とするか決定することになりますが、2021年は、9月3日が祝日となります。
注)陰暦では、12月30日までの年と、12月29日までの年があります。