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2020/01/01 お知らせ

JCCH主催 ベトナム(南部)の【港】を知り尽くす視察会レポート

2019年12月26日(木)に行われた、JCCH(ホーチミン商工会議所)のベトナム(南部)の【港】を知り尽くす視察会に参加してきました。視察会のレポートをお届けします。

日時
2019年12月26日(木)

訪問場所
09:00 – 10:30 Thi Vai International Port / バリアブンタウ省
10:45 – 11:30 TCIT (Tan Cang Cai Mep International Terminal) / バリアブンタウ省
12:00 – 13:30 Phu My 3 Specialized Industrial Park / バリアブンタウ省
15:00 – 16:30 Tan Cang Cat Lai Port / ホーチミン市

目的
JCCH会員が日常多くの関わりを持ちつつも実際に訪れる機会が少ない、南部の主要三港(Thi Vai、Cai Mep、Cat Lai)を訪問し、各港の整備状況や運用状況などを視察

<各施設の概況>

1. Thi Vai International Port / バリアブンタウ省
設立:1997年5月17日(2018年1月操業開始)
株主構成:共英製鋼、辰巳商會、JOIN(日系資本61.7%)、ブンタウシップ・VNスチール(VN系資本38.3%)
*国際港の運営は、本来は外資は49%以下の比率でなければならないが、2007年のWTO加盟前に設立されていたため、特例で外資資本49%以上での運営が認められている
特徴:主に鉄鋼関連のばら積み貨物*を取り扱う「一般貨物港」である
ビナキョウエイスチール向けの鉄スクラップ船の着岸、および荷揚げ作業を行うほか、近隣鉄鋼会社向けの着岸、積出、荷揚げ作業を行う。
*ばら積み貨物:未包装の状態で大量に輸送される貨物。バルクカーゴとも呼ばれる。代表的なものに、石炭、鉄鉱石、穀物がある。その他木材チップ、肥料、セメントの他、石油やLNGなど液状のものもこれに含まれる。
主要設備:岸壁クレーン(40トンまで) 2基
     エクスカベーダー 4基
      グラブバケット 5基
     フォークリフト(4トンまで) 1基
     ウェイブリッジ(80トンまで) 2基
その他:港湾内にはビナキョウエイスチールのスクラップ専用倉庫(10,200㎡)が設置されており、鉄くず、スクラップを保管している。ここで保管されている鉄くず、スクラップがビナキョウエイスチールの工場にて、新たに鉄鋼となり、国外へ輸出される。
現在の日本は、鉄鋼の輸出量(3,467万トン)が輸入量(468万トン)を上回っている。これは、老朽化したビルの建て壊し等で、鉄くず、スクラップが生まれるからである。ベトナムはまだ老朽化したビルが少ないため、鉄くず、スクラップが少ないが、数十年後には、老朽化したビルの建て壊しが始まれば、鉄くず、スクラップが増えて、輸出が上回ることが予測される。

2. TCIT (Tan Cang Cai Mep International Terminal) / バリアブンタウ省
設立:2009年9月投資許可証交付(会社創立)
株主構成:Saigon Newport Corporation(SNP:VN系)、Mitsui O.S.K. Lines(MOL:日系)、Hanjin Transportation(HJT:韓国系)、Wan Hai Lines(WHL:台湾系)
特徴:ベトナム国防省・海軍所管で国内最大のコンテナターミナル会社SNPと、日本、韓国、台湾のコンテナ船社3社(設立当時)との合弁会社。
コンテナ取扱量はCai Mep港最大であり、Cat Lai Terminalに次いで、国内2位である。
主要設備:ガントリークレーン(65m/43m) 3基
     ガントリークレーン(51m/40m) 2基
     トランスファークレーン 15基
     リーチスタッカー 1台
     機内専用トラック&シャーシ 30台
     リーファーコンテナプラグ 486個
その他:TCITの港湾の水深は14mあり、回頭エリア(船をUターンさせるエリア)が広くあるため、14,000TEU型(全長367m)のコンテナ船も入港することが出来る。
TCITよりも上流の港湾は水深が浅くなり(12mなど)、回頭エリアも狭いため、大型コンテナ船は入港することが出来ず、香港やシンガポールで小型コンテナ船に積み替えられてから入港することとなる。

3. Phu My 3 Specialized Industrial Park / バリアブンタウ省
設立:2007年(造成工事開始2015年8月)
土地リース期間:2077年12月20日まで(約70年間)
株主:Thanh Binh Phy My株式会社(100%ベトナム民間企業)
インフラ設備:工業団地882ha(第1期376ha、第2基506ha)
       排水処理 処理能力 第1期:9,000㎥/日、将来:45,000㎥/日
       天然ガス 最大月間1,500万㎥供給可能
       電力供給 高圧110KV送電線を工業団地内変電所に引込み22KVに変圧後、地下送電線でテナントに供給
       水道 日量3.4万トン、将来は9~10万トンの供給が可能
特徴1:特別工業団地として許可
通常50年間の土地リース期間が70年に拡大。Phu My3の場合ライセンスを2007年に受けており、2077年12月20日までの58年のリース期間となっている。土地使用料(Land use fee)が団地操業後20年間免除。Phu My3特別工業団地の場合、2018年から操業しており、2037年まで土地使用料が免除。
特徴2:法人税免税・減税
売上計上年度から最初の10年間は17%。
課税所得年度計上年度から最初の2年間は免税、次の4年間は50%の減税。

4. Tan Cang Cat Lai Port / ホーチミン市
設立:1989年
株主:Saigon New Port Company(防衛省傘下のターミナル会社)
特徴:コンテナターミナルとして最大の規模を誇る
ホーチミンのコンテナの7割以上を取扱っており、殆どの船社がCat Laiターミナル寄港のサービスとなっている
川幅は300~500m、水深は11m、30,000DWT(全長230m)の船舶まで入港が可能
設備:ガントリークレーン 15基
   トランスファークレーン 49基
   リーチスタッカー 32台
   トップリフター 22台
その他: 取扱規模最大であるが故に、港湾及び周辺道路は非常に混みあっている。そのため、CaiMep(バリアブンタウ省)にも新しく港湾を設置しているが、顧客がよりホーチミン市中心に近い港湾を望んでいるため、取り扱いの分散が出来ず、港湾や道路の渋滞問題は解消されていない。