筆者:Pham Thi Duyen
近年の燃料価格の変動は、農業・水産業の生産、養殖、加工活動に直接的な影響を及ぼしている。原材料やエネルギーなどのコストが上昇する一方で、市場の購買力は低下しており、企業の利益は圧迫されている。このような状況の中、多くの企業がリスク回避のために生産規模の縮小を余儀なくされている。
各地の農業・水産業の生産、養殖、加工現場では、燃料価格の引き上げを受けてコスト負担の増大が顕著になっている。種苗や飼料、資材の輸送から収穫、販売に至るまであらゆる工程でコストが上昇している一方、消費市場の低迷により販売価格の引き上げは難しい状況が続いている。その結果、多くの企業が生産活動を抑制せざるを得ず、リスク軽減のために事業計画の見直しを進めている。
水産物の加工・流通を手がける企業の代表者であるファム・バン・フォン氏は、燃料価格の変動が事業全体に直接的な影響を及ぼしていると指摘する。燃料価格の上昇により、輸送費や原材料費、養殖コストが軒並み上昇する一方、製品価格はわずかに上昇するにとどまり、市場の需要は明らかに鈍化している。その結果、同社の売上はすでに約10%減少しており、損失を回避するため生産計画の見直しを余儀なくされているという。
「コストが上昇する一方で販売量が減少しており、企業には非常に大きな負担がかかっています。この状況が長引けば、減少幅はさらに拡大する可能性があります。これは売上だけでなく、雇用や従業員の収入にも影響を及ぼします」とフォン氏は述べている。
こうした影響は加工業者にとどまらず、養殖業者や水産物の輸出入企業にも広がっている。輸送費、資材費、エネルギーコストの上昇が続く一方で、市場需要には回復の兆しが見られていない。
水産物の輸出入および商業分野で事業を展開する企業の代表者であるレ・タイン・チュック氏は、農業・水産業の特性として、大量輸送が必要でコストが高い一方、利益率が低い点を挙げ、燃料価格の上昇が生産活動に与える影響は極めて大きいと指摘する。今回のような急激な変動は、いわば「ショック」として作用し、売上が30~40%減少する可能性もあるという。
「これまで養殖業者は複数の池で大規模に生産を行っていましたが、燃料や資材価格の上昇により、現在は規模を抑えて慎重に運営しています。この状況が続けば、生産活動だけでなく雇用にも影響が及ぶでしょう」とチュック氏は語る。
同氏によれば、現状において燃料価格の安定は、生産・経営活動にとって極めて重要であり、特に利益率の低い農業・水産業にとっては不可欠な要素である。
このため企業側は、関係当局に対し、燃料価格の安定化に向けた柔軟な政策運営を求めるとともに、農業・水産業への支援策の検討を要望している。コスト負担の軽減を通じて、生産の維持と雇用の確保を図ることが狙いである。
農業・環境省の試算によれば、仮に紛争が1年間継続した場合、エネルギー費や輸送費、農業資材費の高騰により、農業・水産業分野の輸出額は約70億~80億米ドルの損失が生じる可能性がある。また、尿素肥料の価格は2025年で最高水準に達しており、生産コストは約3~5%増加している。さらに、世界経済の成長鈍化リスクにより農産物の輸入需要が減少し、企業の販売にも直接的な影響が及ぶと見られている。
短期的なシナリオとしては、紛争が1か月続いた場合、農林水産物の輸出額は約10億米ドル減少し、3か月に及べば約30億~35億米ドルの減少が見込まれている。
こうした状況を踏まえ、農業分野では制度や政策の整備を進めるとともに、デジタル化の推進やグリーン志向の生産構造への転換、高付加価値化に取り組んでいる。また、国際市場の動向を注視しながら、迅速かつ柔軟な対応によって悪影響の最小化を図る方針である。