筆者：Tran Thi Thuy
初めてローローチャイの地を踏んだとき、私はまるで日々の慌ただしい生活から完全に切り離された別世界に足を踏み入れたように感じました。
ルンクー旗台の麓にひっそりと佇むこの小さな村には、喧騒も、商業化の空気もありません。そこにあるのは、素朴さと飾らない真実の姿だけ——そのおかげで、私は到着した瞬間から心がふっと穏やかになるのを感じました。
私の心に最も強く残ったのは、黄金色の土で築かれた「トゥオン・チン（築き土の家）」の家々でした。
山々と森に囲まれ、まるで何十年、何百年も前からそこに立ち続け、山風や雹の季節を静かに見守ってきたかのような佇まい。その家々の間を歩き、手で積み上げられた石垣のそばを通るたびに、ローロー族の人々がこの土地に注いできた労力、忍耐、そして深い愛着がじんわりと伝わってきました。
しかし、私の記憶に最も鮮やかに残っているのは、やはり「人」です。
優しい笑顔、落ち着いた声で語られる物語、そして真心のこもった温かさ——それらすべてが旅を特別なものにしてくれました。
運よく、村の小さな庭で鳴り響く伝統的な祭りの太鼓の音を聴くこともできました。ローロー・デン族の鮮やかで色彩豊かな衣装が揺れ、景色に命が吹き込まれたようでした。それは単なる文化ではなく、世代を超えて受け継がれてきた誇りそのものなのです。
ローローチャイの朝は、どこよりも特別です。
薄い霧が陰陽瓦の屋根をゆっくりと流れ、朝日が石垣の上にやわらかく降り注ぎ、澄みきった空気が胸いっぱいに広がる——その瞬間を深く吸い込み、永遠に覚えていたいと思いました。
きっと、この静けさと素朴さこそが、一度訪れた人を何度でも引き寄せる理由なのだと感じます。
ローローチャイは美しいだけの場所ではありません。
その美しさは、目で見て、息づかいで感じ、そして心の奥にそっと染み込んでくるものです。
もし「本当の休息」を求める場所が必要だとしたら、私はいつも真っ先に、このベトナム最北端の小さな村を思い浮かべます。
