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VACサイゴンスタッフコラム

2025/08/18 VACサイゴンスタッフコラム

子どもに教える応急処置と緊急時の対応力の重要性

筆者:Nhieu Quynh Kim Hao


近年、学校や公共の場で子どもたちが関わる痛ましい事故が相次ぎ、社会に大きな衝撃を与えています。多くのケースでは、事故の周囲にいた子どもたちが適切に対処し、応急処置ができていれば、命を救えたかもしれません。この現実は、子どもたちに「友達が事故に遭ったときどうすべきか」という対応力、そして基本的な応急処置の知識を早い段階で教育することの重要性を示しています。
子どもは緊急事態に直面すると、驚いて立ちすくんだり、逃げたり、大人を呼ぶことしかできないことが多いです。しかし、呼吸停止や心停止のような重大な事態では、救命のための「ゴールデンタイム」は数分しかありません。正しく教育されていれば、子どもたちも状況を判断し、115番に通報したり、心臓マッサージを行ったり、呼吸を助けたりすることができるのです。
海外の多くの国では、小学校から応急処置教育が導入されています。6歳〜10歳の子どもでも、鼻血や軽いやけど、異物の詰まり、失神などの対処法を学ぶことができます。しかし、ベトナムでは、こうしたスキルはまだあまり重視されておらず、学校でも家庭でも十分に教えられていません。多くの子どもたちは、緊急時にどう動くべきかを知らず、無力感や無関心で対応してしまうことも少なくありません。
応急処置は大人や医療関係者だけのものだという考え方は間違いです。実際、緊急事態の「最初の目撃者」になるのは、意外にも子どもであることが多いのです。正しい知識やスキルがなければ、対応が遅れ、深刻な結果を招く可能性があります。一方で、適切な行動をとることで、命を救えることもあるのです。
子どもにこうしたスキルを身につけさせるには、家庭と学校の両方が協力する必要があります。家庭では、保護者が日常会話の中で「もし〜だったらどうする?」という形でシミュレーションを行い、子どもが考える力と判断力を養うことができます。学校では、応急処置の専門家を招いた実践的なワークショップや体験学習を定期的に行うべきです。実際に心臓マッサージを試す、包帯を巻く、異物除去を学ぶなどの経験は、子どもの記憶に深く刻まれ、いざという時に素早く対応できるようになります。
また、事故時の対応教育は、単なる技術習得にとどまりません。それは「思いやり」や「責任感」、「他人を助けたいという気持ち」を育む道徳教育でもあります。友達を思いやる心を育てることは、将来社会で他者と関わる際の大切な基盤となります。逆に、日頃から周囲に無関心な態度で育つと、緊急時にも無反応で、自分を守る力も他者を助ける力も育ちません。