筆者:チャン・チャン
ベトナムの端午の節句のたびに、ちまきはいつも供え物の膳にあり、ベトナムの家庭の台所に並びます。三角錐の形をした素朴なこの粽は、風習や美しい生活様式、そして一年を通した気候の循環に対するベトナム人の考え方を思い起こさせるものです。
ちまきは、三角形の形をしたベトナムの伝統的な菓子で、もち米と緑豆のあんを竹の葉で包んで作られます。三角形の形は、陰陽五行説によると「陽の火」を象徴し、内側の「陰の土」に包まれることで、調和を表しています。ちまきの色もまた大地の色を象徴しており、昔は中にあんがなく、純粋に大地へ帰るという意味が込められていました。万物は大地へと還り、そして陰陽が調和することで再び命が芽生え、発展する ― これが自然の摂理なのです。ちまきと発酵したもち米(ネップ酒)は、共に欠かせない供物であり、稲作文明を象徴するもので、特に酒は祖先に捧げる清らかで神聖な品として重要視されています。

そのほかにも、人々はベトナムの端午の節句にちまきを食べることで、体の熱を下げ、健康を整え、維持できると考えています。五月は暑さが厳しく、蒸し暑く、疫病が発生しやすい時期でもあります。ちまきは体を冷やす効果があり、消化もしやすいため、特に高齢者や子どもに適しており、体内の毒素を和らげ、健康を守るとされています。
そのため、ベトナムの端午の節句にちまきを食べる習慣は、単なる伝統文化の美しさにとどまらず、健康面でも多くの利点をもたらすものなのです。

ベトナムの端午の節句の起源についてはさまざまな伝説があり、また、なぜこの日にちまきが用いられるのかについても多くの資料や解釈が存在します。しかし、その由来がどうであれ、ベトナムの端午の節句は今もなお、美しく深い人間愛を象徴する伝統行事として受け継がれ、人々の心に生き続けています。