筆者:Pham Trung Khanh
ライヴンのネムの工芸 – ドンタップ省「ピンクの蓮の里」を代表する素朴な郷土料理作りの技法は
国家無形文化遺産として認定された。
奇妙な食品
“Lai Vung とは不思議な土地
ネムなのに甘く、芳しく酔わせる香り…
この詩は、ライヴンのネムが持つ独特で個性的な味わいをよく表されている。ライヴンのネム作りは、およそ1960年頃に始まった。この料理を開発したのは、当時サーデック省ドゥックタイン郡(現在のドンタップ省ライヴン郡タンタイン社タンカイン集落)に住んでいたグエン・ティ・マン(通称トゥー・マン)氏である。
当初、トゥー氏は命日供養やテト(旧正月)などの祭礼用としてネムを作っていた。地域住民が試食したところ、味が珍しく美味で、しかも一週間ほど保存可能であったため、多くの人々がトゥー氏のもとで工芸を学ぶようになった。その後、彼らがライヴン市場で販売したことから、このネムの名前は市場名に「ライヴンのネム」と呼ばれる。

独特の風味により、ドンタップ省内外の人々が買い求める
当初は各地の市場で小規模に販売されていたが、やがて行商人によってバスターミナルや渡船場へと広がり、西部の地域に流通するようになった。次第にライヴン郡内ではネム製造を専門とする村落産業が形成され、特にタンタイン地区およびライヴン町に集中するようになった。近年では、ライヴンのネムは大型宴席の名物料理となり、重要な祝宴の前菜「八珍(バット・ブー)」を構成する八品の一つとして成れる。
芸術料理となる
ライヴンのネムの原材料は非常にシンプルである。豚肉、豚皮、ボンの葉、バナナの葉、バナナ紐を胡椒、ニンニク、唐辛子など日常的な調味料を合わせて、自然発酵させて作られる。
酸味と甘味が絶妙に調和し、自然発酵による鮮やかなピンク色を生み出すためには、秘訣がある。製造工程は主に次の5つのステップがある。原材料および副材料の支度、下処理、混ぜ合わせ及び発酵熟成、包装、完成品の保存。

ボンの葉で包み終えたライヴンネム
とりわけ各工程には、職人の繊細な手作業と創造的な感覚が求められ、まさに芸術的技術と評価されている。 食材選びでも高度な目利きが必要である。
良質なネムを作るには、屠畜直後の新鮮な肉を使用し、とくに後脚のヒレ肉または臀部の赤身肉が適している。外包装には、柔軟で丈夫かつ色合いの美しいシャム種バナナの葉を用いる。一方、ネムを直接包む葉にはボンの葉またはチュムルオットの葉が用いられる。これらの葉は自然発酵を促進する作用があり、さらにネムと一緒に食される付け合わせ野菜としても欠かせない存在である。
肉80%、細切りにした豚皮20%の配合で混合した後、包装工程に入る。この工程は、外観の美しさのみならず品質にも影響を及ぼすため、最も高度な巧みが求められる作業である。

ライヴンのネムを包む工程は、ネムの品質を左右する重要な意味を持つと同時に、ネム作りの技術が国家無形文化遺産として認定されるうえで大きな要素ともなっている。
ネムは手のひらほどの長方形に成形され、包み方や紐の結び方に高度な技巧が必要とされる。ドンタップの職人たちには次のような言い伝えがある。
「一つ一つの包みは職人の腕を映す。
小さく新鮮な葉が肉を包み込み、
葉が少なければ酸味が出るまでに時間がかかり、
肉の配分が適切であれば、ネムはゆっくりと熟成する。」
ボンの葉またはチュムルオットの葉の上にネムを置いた後、胡椒の粒と唐辛子を押し込み、さらにニンニクの薄切りをのせて葉で丁寧に包み込む。この葉がネム特有の爽やかな酸味と濃厚な香りを生み出す。
続いて、3~4枚のバナナの葉を縦横に重ねてしっかりと包み、葉の香りをネムに移す。この工程は風味、保存性、そして見た目の美しさを左右する重要な段階である。
貴重な報酬
独特で芳醇な味わいにより、ライヴンのネム製造業は地域経済を活性化させ、多くの成功した事業者を出世するとともに、「ピンクの蓮の里ドンタップ」の名声を広く知らしめる役割を果たしてきた。
2012年にはベトナム記録協会により「ベトナムの有名ネム・チャー特産品トップ10」に選出され、2013年には同協会が第1回目にベトナム記録書センターより発表した「ベトナム特産贈答品トップ50」にも名を連ねた。

ライヴンのネムは、重要な宴席における「八珍(はっちん)」の盛り合わせに欠かせない
業界の発展ニーズを満たし、消費者の信頼を築くために、ライブンネム生産工場は、設備投資や品質改善を進め、現代の消費者のますます高まる要求を満たすためのパッケージデザインに重点を置いています。その結果、複数の製造業者がドンタップ省人民委員会よりOCOP(三つ星・四つ星)製品認証を取得し、ライヴンのネムは全国的に知られる地域特産贈答品となった。
ライヴンのネム製造工芸が持つ歴史的・文化的・経済的価値が評価され、ドンタップ省人民委員会は文化スポーツ観光局に対し無形文化遺産登録のための資料作成を指示した。そして2023年11月10日、文化・スポーツ・観光省はライヴンのネム製造技術を国家無形文化遺産として公表した。