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VACサイゴンスタッフコラム

2026/01/09 VACサイゴンスタッフコラム

グリルしたライギョ

筆者:Tran Thi Binh Minh



Đồng Thápと聞くと、多くの人は一面に広がる蓮の花畑、穏やかに流れる川、そしてメコンデルタ地方ならではの素朴な人々の暮らしを思い浮かべます。美しい風景だけでなく、この土地の料理もまた、人々の心に強い印象を残します。とりわけ、日常の暮らしと深く結びついた素朴な料理の数々は魅力的です。その中でも、「カーロック(雷魚)の藁焼き」は、身近でありながら、郷土・Đồng Thápの風味を色濃く感じさせる一品です。
カーロックの藁焼きは、新鮮な天然のカーロックを使って作られます。この魚は田んぼや池、用水路などで簡単に捕れる身近な存在です。調理法はとてもシンプルで、魚を丁寧に下処理する必要はなく、串に刺して乾燥した藁の上でそのまま焼き上げます。藁が燃え尽きると、魚の皮は黒く焦げて素朴な見た目になりますが、中の身はふっくらと白く、香ばしい香りを放ちます。この素朴な焼き方こそが、魚本来の甘みを閉じ込め、独特の香りを生み出しているのです。
カーロックの藁焼きは、ライスペーパーや、空心菜、睡蓮の茎、若い蓮の葉、きゅうりなどの田園野菜と一緒に食べるのが最も美味しいとされています。魚と野菜をライスペーパーで巻き、タマリンド入りのヌクマムや、にんにく唐辛子の甘酸っぱいタレにつけて食べると、酸味と辛味が絶妙に調和し、深い味わいが広がります。決して手の込んだ料理ではありませんが、一度食べると忘れられず、家族や友人と囲む食卓でこそ、その美味しさがより一層引き立ちます。
カーロックの藁焼きは、単なる美味しい料理にとどまらず、Đồng Thápの人々の素朴な暮らしぶりを思い起こさせてくれます。この料理は、農作業後の家庭の食卓や、収穫を終えた後の集まり、週末の団らんなど、ささやかなひとときによく登場します。その素朴で温かみのある魅力こそが、カーロックの藁焼きを忘れがたい郷土料理にし、Đồng Thápの食文化ならではの個性として、多くの人の心に残っているのでしょう。